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第7号(2007年3月)巻頭インタビュー 別所哲也さん
別所哲也

「ニッポン語の『キネマ』があるって聞いてきた」
ブラジルで出会った
1世の言葉が忘れられません!

別所哲也さんはアメリカでホームステイの経験があり、 映画デビューもハリウッドという国際派の俳優です。
現在、俳優として活躍する一方、8年ほど前から日本発の短編映画祭も主宰。
昨年8月にはサンパウロ国際短編映画祭に招待され、はじめてブラジルを訪れました。

短編映画だからこそ表現できる「いまの日本」


サンパウロ国際短編映画祭であいさつする別所哲也さん
2006年8月、サンパウロ国際短編映画祭に招待されてあいさつする別所哲也さん

 僕が短編映画の存在を知ったのは、ハリウッド映画を経験して知り合ったスタッフたちを通じてでした。当時、日本ではなかなか見る機会がなかった短編映画ですが、以来その面白さにすっかりハマってしまって・・・。日本でも観る機会をつくろうと思って立ち上げたのが、「ショートショート フィルムフェスティバル」です。
 今年で設立9年目、だいぶその存在を知ってもらえるようになり、世界各地の短編映画祭に日本の作品を紹介したりするようにもなりましたが、最初はここまで広がるとは思っていませんでした。3年目を迎えたころからでしょうか。「短編映画祭を通じて、世界中の人たちともっと繋がりたい」という明確な目的意識を持つようになりました。
 超大作の商業映画にはできなくても、短編映画だからこそ「いま」の日本人の姿や考え方をもっとストレートに表現できる世界があります。時代劇や京都の風景だけが日本を表現するのではなくて、いまここにある東京の断片だけでも「日本らしさ」を反映できるのが短編映画の魅力だと思うんです。
 日本人って小さなもののなかに大きな宇宙を表現するのが得意なんだと思います。俳句や枯山水に象徴されるミニマムな世界観、省くことによる美しさと、短編映画という小さな世界のなかに大きな映画的宇宙を作る、表現することの共通点を感じますね。

ギャップを感じた西洋社会の求める日本人像

 ハリウッドで僕に与えられたのは、日系アメリカ人のパイロットという役。監督が僕に求めるものは、日本人としての精神世界や立ち居振る舞い、寡黙さや謙虚さなんです。
 西洋社会から求められる「日本人らしさ」と、ハンバーガーとバスケットボールが大好きでアメリカ文化に慣れ親しんだ実際の僕自身とのギャップに戸惑うこともありました。まだ若かった当時は、西洋のレンズを通した日本人像を強調されることにすごく抵抗があったんです。だからといって、僕たち現代の日本人が「日本人はこうなんだ」というものを持っているのかというと、いまの日本人の姿ってもっと多様なんですよね。それで、一時期すごく思い悩んでしまいました。
 日系社会でもよくあることみたいで、演技指導をしてもらっていた先生に「アイデンティティ・クライシスになりかけている。そうなる前に一度日本に戻って、日本でいろいろ試してみなさい」って言われたんです。俳優の仕事というのは求められる役を演じること。だけど、自分の軸足がどこにあるのかがわからなくなってしまったら、演じることそのものが不安定になってしまう。それだったら一度日本に戻ったほうがいいとアドバイスしてくれたんです。ものすごくありがたい言葉だったと思います。
 僕は日本に戻って来たけれど、アメリカで生まれ育った日系の人たちにしてみたら、彼らの中にも日本の血が流れていて日本と繋がっているということはわかっていても、そこには僕とはまた違った苦しみや思い悩むことがあるだろうと思いました。
 日本人と日系人、似ているようで違う部分もたくさんあるけれど、向こうで生活したことで、日系の人たちの気持ちがリアルに理解できた部分もありました。日系の人たちがどのように現地の人たちと手をつないでコミュニティ作りをしてきたのか、どうやって自分たちのアイデンティティを確かめ合ってきたのか、そんなことがなんとなくだけど、わかるようになった気がします。

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『キネマ』を見に来た1世のおじいさん


日本の作品を観に、たくさんの日系人も来場した
日本の作品を観に、たくさんの日系人も来場した

 ブラジルは、サンパウロとリオしか見ることができませんでしたが、人種的にもカルチャー的にもダイナミズムがあってすごいところだと思いました。
 サンパウロでは、日本の短編映画を数本持っていって上映しました。お客さんは現地の映画関係者や若手の映像作家たちが中心ですが、日系の方もたくさん観にきてくれました。特に、ある1世の方が「ニッポン語の『キネマ』があるって聞いてきた」と言われたのが忘れられません。短い会話を交わしただけだったけれど、大変な人生でありながらそれを楽しんで生きてこられた移住者たちの姿がそこに凝縮された感じがして、とても印象的でした。
 ブラジルには1週間程度の滞在でしたが、ちょうど僕の誕生日が重なって、現地でみなさんにお祝いをしていただいたり、本当にとっても温かく迎えてもらいました。以前、NHKの朝の連続ドラマ『風のハルカ』に出演していたので、それをブラジルでも観てくださっている人がたくさんいて、その話で盛り上がったりもしました。
 北米とブラジルの日系社会を見たときに、僕は違いよりも共通点を多く感じました。日本について日本人よりもよく考え、感じ、日本というものを自分たちのなかで熟成させている。そんな中にいると、僕自身が日本人としてどれだけのものを意識しているだろうか、何を発信しているだろうか、そんなことを考えさせられました。

ブラジル移住100周年の機会に


日本の作品を観に、たくさんの日系人も来場した
ブラジル側のスタッフと交流のひととき

 来年はブラジル日本人移住100周年ということですが、「ショートショート フィルムフェスティバル」の10周年でもあるんです。今年6月から7月にかけて開催する9年目の映画祭を成功させて、その後は10周年に向けていろいろな企画を具体化していく予定です。
 100年といったら、僕たちの映画祭の歴史の10倍。ブラジルと日本との交流の歴史がそれだけ長い間続いているのだから、この機会にブラジル映画のおもしろさや日系の人々の姿を紹介したいですね。日本にいる日系ブラジル人の方々との交流の糸口となるような企画が実現できればと思っています。

別所 哲也(べっしょ てつや)


サンパウロ国際短編映画祭会場にて
サンパウロ国際短編映画祭会場にて

俳優。慶應義塾大学法学部法律学科卒。1990年、ハリウッド映画『クライシス2050』でスクリーンデビュー。米国映画俳優組合(SAG)会員となる。帰国後、数多くの映画、ドラマ、舞台等に出演。現在「J-WAVE GOOD MORNING TOKYO」(月〜金 7:00〜9:00)のナビゲーターを務める。 6月からはミュージカル『レ・ミゼラブル』、11月には『ウーマン・イン・ホワイト』に主演。 また、99年より、日本発の短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」を主宰。本年も、6月25日〜7月1日まで、ラフォーレミュージアム原宿にて開催。 04年には、米国アカデミー賞公認映画祭に認定され、2005年の万国博覧会、「愛・地球博」では、「ショートショート フィルムフェスティバル EXPO 2005」を開催。統括プロデューサーを務めた。06年にブラジル、サンパウロで開催された国際短編映画祭に招待され、現地で日本の短編映画を紹介するなど国際的に活躍している。

別所哲也オフィシャルファンサイト http://www.t-voice.com/
「ショートショート フィルムフェスティバル」 http://www.shortshorts.org/


 
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