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HOME > 海外移住資料館だより > 第6号 巻頭インタビュー

第6号(2006年12月)巻頭インタビュー 宮沢和史さん

自分らしさや日本らしさ、
もっといえばそんなもの
関係ないくらいの人間らしさ、
人間の躍動感を
表現できるところまで たどり着きたい

宮沢和史さん

沖縄との出会い、そしてブラジルへ

 それまでの人生で体験したことのないような新しいものに出会って、大きく影響されるきっかけになったのが、沖縄との出会いでした。プロの音楽家として活動していくからには、誰にもまねできない音楽、日本人ならではの音楽をやりたいとずっと思っていて、どこか身近にヒントがないだろうかと模索していた。そんなときに出会った三線(さんしん)の音色は、それまで聞いたこともない独特の音階でした。それをものすごい速さで演奏する人がいて、単純にカッコいいと思ったんです。それからですね、ロックだからカッコいいとか、ロックじゃなくちゃだめだとか、そういう枠が完全になくなりました。沖縄と出会ったことで自分の関心が外の世界に向いて、何かを探しに行くような感覚、新しい音楽がやりたいという気持ちが大きくなっていきました。
 ブラジル音楽との最初の出会いはボサノバで、自分たちがやってきたロックとはまったく別物だけど、聴く音楽としてはずっと好きでした。ライブハウスで生のブラジル音楽にはじめて触れたとき、サンバのテンポの速さや演奏のアグレッシブさ、自由さに度肝を抜かれました。それで、とにかく一度ブラジルに行ってみようと…。1994年にひとりでリオに行って、驚きとともにいろんなものを吸収しました。向こうで作った曲をアルバムにしたいと思い、それからは何度もブラジルへ行くようになりました。以来、もう20往復はしています。
 沖縄もブラジルも、僕にとっては行けば行くだけ得るものがある場所。音楽的にも人間的にもたくさんの影響を受けています。

 移住者のスーツケース・・・  僕ならギターを持って行く

常設展示
常設展示のトランク

 ブラジルの魅力はやはり人。アメリカ合衆国にもたしかにいろんな人種が暮らしているけれど、ブラジルはそれ以上に混ざり合って、グラデーション化している気がします。だから、行くたびにおもしろい人に出会うし、帰ってくるとまた会いたくなる。もちろん、貧富の差などの問題も抱えているから怖い思いをすることもあるけれど、それでも「人間っていいよな」って思わせてくれる国ですね。
 ブラジルで最初に移住者の方たちを意識したのは、サンパウロでライブをしたとき。日系の方たちが熱狂的に迎えてくれたんです。『島唄』をみんなで歌ったときに、「仲間」という感覚を意識しました。本やテレビで知ることのできる移住者の話はどうしても苦労話が多いけれど、実際に訪れたブラジルで、ブラジル社会に完全に溶け込んでいる若い人たちのエネルギーを直に感じて、とても興味を持ちました。  ブラジルって、日本からは本当に遠い。でもブラジルに行くと、なぜだか遠くに来た気がまったくしないんです。とにかく日本人を受け入れてくれる。ブラジルで移住者、日系の人たちが長い時間をかけて信用を勝ち得たのだと思います。
 去年おこなったブラジルツアーの最中に、偶然現地でNHKドラマの『ハルとナツ』を観ました。サンパウロのホテルに滞在していて、日本とちょうど12時間違うんだけど、もう朝から泣きましたね。その場に自分たちがいるから余計に感じるものがあったのでしょう。 それで、日本に戻ってきてから、『ハルとナツ』の特別展示を見るために海外移住資料館に行ったんです。移住者が向こうに持っていった荷物が積み上げられた展示が印象深かったですね。自分だったら何を持って行っただろうって考えたら、すごくリアルで。あれもこれもというわけにはいかなかったでしょうから、僕はやっぱりギターかな。ギターなら電池がいらないし、音楽を生み出し続けてくれるから。

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 自分らしさってなんなんだろう・・・

宮沢和史さん

 いま、「GANGA ZUMBA(ガンガ・ズンバ)」という新しいバンドで活動しています。メンバーはバックグラウンドもジャンルも国籍もバラバラで、ブラジルやアルゼンチン出身の日系のメンバーもいます。彼らを見ていると、どこにいても自分自身を絶対に失わない。自分の生まれ育った土地を愛していることを強く感じます。彼らのそんな姿を見ていて、かなわないなぁと思うことがあります。自分が生まれ育った土地すらきちんと愛せてない人間が、日本発の音楽なんてできるわけがないよな、なんて自問自答したりして・・・。まだまだ旅の途中だから、日本らしさ、自分らしさってなんだろうっていう問いかけを常にしている段階で、答えは出ないですけどね。彼らと何度も何度も意見をぶつけ合いながら、自分らしさや日本らしさ、もっといえばそんなもの関係ないくらいの人間らしさ、人間の躍動感を表現できるところまでたどり着きたいです。
  「GANGA ZUMBA」として初めて出したアルバムでは、ジャケット写真や曲の歌詞にいろんな思いを込めました。「移住」もひとつのキーワードでした。いろんなものを捨てて、いろんなものを残して、結果的には国、ふるさと、家族を置いて、何の約束もない土地で一からはじめるって、すごいことですよ。誰にだってそれぞれの人生があって、時には捨てなくちゃならないものもあるけれど、それでもそこから旅に出るんだ、そしてそれは簡単には戻ることのできない旅なんだ、という覚悟を示したかったんです。

 ブラジルと両想いになりたい

JICAカップ優勝チームの子どもたちと

  ブラジルに関わるようになって十数年。当然いろんな思いがあります。僕がブラジルからたくさんのものを得たように、今度は音楽でブラジルの人たちに何かを返したい。僕が恋焦がれるだけでなく、早くブラジルと両想いになりたいですね(笑)。
 ブラジルを知れば知るほど、日系の人たちの苦労が感じられてくる。2008年のブラジル移住100周年には必ずまたブラジルに行きます。日系の方たちにゆかりのある街はもちろんのこと、広いブラジルのいろんなところを訪れてみたい。ブラジルだけじゃなくて、移住の歴史が長いペルーなども一度は訪れてみたいです。
 ロシアのことわざに「100冊の本を読むよりひとりの人に出会え」とうのがあるんです。知識はもちろん大切だけれど、まずは出会うこと、触れ合うこと、感じること。本を読んだりして知識を得るのはその後にすればいいんだろうと思っています。

宮沢和史(みやざわ かずふみ)

『Habatake!』 GANGA ZUMBA

1966年 甲府生まれ。THE BOOMのボーカリストとして1989年にデビュー。これまでにTHE BOOMとしてアルバムを11枚、宮沢和史ソロでアルバムを4枚リリースしているほか、作家としても多くのミュージシャンに歌詞、曲を提供。海外でのレコーディングやコンサートツアーを積極的に行い、特にブラジルへの思い入れは強い。代表曲のひとつである『島唄』は、アルゼンチンでの大ヒット (2002年)後も各国のミュージシャンに次々にカバーされ、国境を越え、世界に広がり続けている。昨年10月にはブラジル、ホンジュラス、ニカラグア、メキシコ、キューバの中南米ツアーを成功させ、2006年春からは、新たに「GANGA ZUMBA」として活動の場を広げている。11月29日にリリースされたセカンド・ミニアルバム『DISCOTIQUE』も好評発売中!

Official Website: http://www.five-d.co.jp/miyazawa/jp/

 
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