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第5号(2006年9月)巻頭インタビュー 北澤 豪さん(サッカー元日本代表)

世界で戦ってきたひとりとして、
日本について説明する役目が あるんじゃないか…。

北澤豪さん

 今年2月、JICAオフィシャル・サポーターとして南米パラグアイを訪問した北澤豪さん。日本人移住者が最初に入植したラ・コルメナ移住地を訪問して、一世の人たちの話を聞いたり、子どもたちを対象にしたサッカー教室やJICA主催のサッカー大会「JICA CUP」を開催したりと大活躍。
 叔母さんがブラジルに移住していることもあり、移住は子どものころから身近な存在だったと語る北澤さんですが、サッカー大国のパラグアイで、どんな出会いがあったのでしょうか。

一世たちの心に触れて

ラ・コルメナ移住地

 現役時代、ブラジルに半年間サッカー留学したことがあって、日系の人たちにはとっても親切にしてもらった思い出があるんです。ブラジルにいたのはもう10年も前なんだけど、そのときに感じた日系の人たちに対する印象と今回ラ・コルメナで日本人移住者のみなさんにお会いして感じた印象は、まったく一緒でしたね。日本の文化を僕なんかよりもずっとよく知っているし、大切にしている。あの赤土の大地を自分の腕だけで切り開いてきた人たちのパワーってものすごいと思います。
 でもいま、若い世代は日本離れが進んで、日本語を話せない人も多い。孫の世代がパラグアイ社会で活躍する姿を見て嬉しい反面、移住地から若者がどんどん出て行く現状のなかで、日本とのつながりを持ち続けたい、言葉や文化を継承して残していきたいという熱意や、それが途絶えることに対する危機感をヒシヒシと感じました。
 一世の人たちの話を聞いて、大自然の過酷さや風土病と闘いながら必死でがんばってきた人たちが海外で日本の文化を守って生きているということを、僕たち日本人、特に日本らしさを忘れかけている若い日本人がもっと知るべきだと思いました。海外にいくと、外国の人から日本についていろいろと質問されます。きちんと説明することができないとき、「自分は本当に日本人なのか」って情けなくなります。特に、日本代表として世界で戦ってきたひとりとして、日本についてきちんと説明する役目が自分にはあるんじゃないかと思うんです。一世の人たちの話を聞いて、改めて気づかされることがたくさんありました。

南米サッカーに挑む

 ラ・コルメナのサッカー場で、サッカー教室をしたときのこと。アルゼンチンから来ているコーチがいたんだけど、僕に指導をさせたくなくてなかなかグランドを開けないんです。サッカー大陸である南米の人にしてみたら、日本人が何しに来たんだよっていう気持ちもあったんでしょうね。そのとき、一世の方がスペイン語で関係者に何か指示すると、その一声で状況が一気に解決したんです。その姿を見たときに、ラ・コルメナで移住者のみなさんが築き上げてきた地域の信頼、そして影響力の強さを感じました。
 世界ではまだサッカー後進国というイメージがある日本だけど、日本サッカーには規則正しさや応用力など、南米とは違う面のよさがある。そういう話をしながらサッカー教室を進めて、最後にはそのコーチとも笑顔で握手ができました。日本とパラグアイがまたひとつサッカーでも結びつくことができて、一世の人たちもすごく喜んでくれたことが、僕にとっても嬉しいことでした。
 実は今回、行き先が南米と知って僕の中では嬉しさと同時に少し不安もあったんです。でも、どこに行っても最終的には受け入れてもらえて、少しは日本のサッカーも認めてもらえたんじゃないかと思っています。

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日系人の強さ

Tシャツにサインをもらう子どもたち
Tシャツにサインをもらう子どもたち(写真撮影:池田有美子)

 異なる文化を持つ人たちがお互いを理解しあおうと思ったら、一方通行にならないことが何より大切ですよね。何かを教えるにしても、日本から持っていったものをそのまま押し付けてはダメで、現地の生活スタイルにうまく合わせていかなくちゃいけない。サッカー教室でも、僕はいつもその国がどういう国なのか、どんな習慣を持っているのか、どんな問題を抱えているのか、そういうことを知ることからはじめます。
 例えば明日のことなんか予測もできないような貧しい状況のもとで生きている子どもたちのサッカーは、どうしても直線的で近道のプレイが多い。だけど、目的を達成するためには直線以外のコース、回り道に見えるようなやり方もあるんだよということを示し、それが成功するように導いてやる。そうやって成功を経験させることで、新しい考え方も少しずつ受け入れてもらえるんです。
 南米の子どもたちって特に、それぞれのリズム感を持っているんですよ。それは天性のもので、南米サッカーの強さの理由なんでしょうね。一方で日本人の精神力の強さは他の国に負けないものがある。日系の人たちは、それを両方持ち合わせているんだから、その力が発揮されたときはすごいですよね。

サッカーを通じて つながっていく


JICAカップ優勝チームの子どもたちと
JICAカップ優勝チームの子どもたちと(写真撮影:池田有美子)

 若い頃は、自分は何にだってなれるなんて思っていたけれど、いまは、自分に何が求められているのか、人のために何ができるのか、それを考え実行していくことが人として一番大切なことじゃないかと思うようになりました。実際に自分が海外でできることなんてサッカー教室くらいしかないのかもしれないけれど、そこで得た経験をこうして人に伝えることによって、またいろんな理解が広がっていくのかもしれないし、どこかで何かがつながっていくのかもしれない。最終的に自分のゴールがどこにあるのかはまだわからないけれど、そういうつながりのなかから必ず何かが見えてくるのだろうと思っています。
 今年移住70周年を迎えたパラグアイの日系の人たちに、すばらしい経験をさせていただいてありがとうございましたと改めて伝えたいです。JICAカップでみんなと一緒に戦ったのは楽しい思い出ですね。サッカーを通じて日系人も現地の人たちも、みんながひとつになることができた。また行きたいです! 

北澤 豪(きたざわ つよし)

日本サッカー協会国際委員、JFAアンバサダー、サッカー解説者。
サッカー元日本代表として数々の国際試合で活躍後、03年に現役を引退。現役時代からボランティア活動に取り組み、サッカーを通じて世界の子どもたちを支援できる環境づくりを目指している。04年からはJICAオフィシャル・サポーターとしてアジア、アフリカ、中南米などを訪問。

 
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