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第4号(2006年7月)巻頭インタビュー 嵐山光三郎さん
嵐山光三郎さん

ブラジルで原種の日本人に出会った!

「旅マニア」の作家、嵐山光三郎さんが、昨年8月、JICAの有識者派遣プログラムで 南米の日系移住地を訪れました。ブラジルの大自然とともに生きてきた移住者たちとの出会いを通じて、 「日本とは」「日本人とは」を改めて考えさせられたと話す嵐山さん。旅なれた嵐山さんの目に、 南米の大自然は、そしてそこに根を張る移住者たちの姿はどう映ったのでしょうか。

移住者ってカッコいいよな!

  高校の同級生で、仲がよかった友人が大学を卒業してすぐブラジルに移住しているんです。ボクらの学生時代はちょうど60年代、全共闘の最初のころ。「棄民」なんて呼ばれていた、初期の厳しい時代の移民じゃなくて、ヒッピー文化が流行して、大学を出ても就職しないでニューヨークに行って画家を目指すような連中がたくさんいた時代です。そんななかで、当時ブラジルに行くのは未知の土地を目指すかっこいい存在でした。で、友人は向こうで自家用飛行機も持つくらい成功したらしいんだけれど、ある日突然ジャングルで行方不明になってしまった。ボクらの間では伝説の人物でした。
 もう10年くらい前に、「アマゾンで亡くなった友人へ」と雑誌に書いたことがあった。そうしたら、当の本人がその記事を読んで、「生きてるよ」って連絡があったんです。コロンビアに移り住んで現地の美人女性と結婚して、娘さんもいて・・・。写真を送ってきたけれど元気にやっているようだった。そういうたくましさが、やっぱり日本男児ですね。移住者は冒険家でもあるのです。


ブラジルで出会った「原種の日本人」

 これまでいろんな国を旅してきましたが、ブラジルには去年、JICAの有識者派遣というプログラムではじめて行きました。移住者や日系人が暮らすブラジルという国はどんなところなんだろうと思って、日本を発つ前にJICA横浜にある資料館を見学しました。そこではじめて、初期の移住者の暮らしぶりやご苦労を知りました。大自然と闘い、志半ばで亡くなった人も少なくない。命がけで大変な苦労をされたんですね。
 実際に向こうで暮らす移住者のみなさんと会って、それだけではない別の面も見た気がします。みんなとても誇り高くてナイス・ガイ。豪傑で愉快な人たちにいっぱい会いました。明治人の男気があって、死んだボクのじいさんみたいにガッハッハと笑う人がいました。「ニッポンの母」みたいに頼りがいのある女性がバリバリ仕事をしていました。移住者たちがむこうで作った短歌や俳句は趣があってパワフルです。ああいう日本人には最近とんと会わなくなりました。ブラジルには、「原種の日本人」がたくさんいるのだと思った。

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大自然と対峙する

トメアスーの地図

 アマゾン下流域にあるトメアスーという日本人移住地にも行きました。いまでこそアマゾン第2の都市ベレンからセスナで1時間ほどですが、移住者が入植した当時はアマゾン河を船で2日間かけてようやく到着したほどの奥地です。そんな土地で、移住者たちは大自然と闘ってきたんですね。
  「開拓」というのは、ようするに木を切ることです。彼らは、命をかけて、生身で大自然と向き合って闘ってきた。ちょっと放っておくと開拓地はすぐにジャングル化してしまうんです。その一方で外国の企業が重機を持ち込んで何万ヘクタールという規模で森林伐採をしている現状もある。「環境保護」「自然保護」を声高に唱えるのもわかる。でも、何もないジャングルの土地を与えられてそこを開拓しろって言われた移住者たちにとって、木の根一本抜くのがどれだけの苦労であったか。彼らは自然と一体化しようとした。移住者は、厳しい大自然と真っ向から向き合ってきた人たちなんです。トメアスーで日本人がはじめたアグロフォレストリーという自然と共存する農業のやり方はいま、世界で注目を集めています。
  日本でいま武士道とか日本人魂なんて言ったら笑われるかもしれないが、彼らみたいなまじめでまっすぐな人たち、日本人魂、武士道精神をもった人たちが、アマゾンの奥地の村でがんばっているんです。ひたすら頭が下ります。
  トメアスーにはJICAが作った農業試験場があって、そこではアマゾンの自然と共存できる新しい品種の開発を日本人が研究しています。

若者たちよ、ブラジルへ行け!

 これまでにずいぶんといろんなところを旅してきたけれど、日本についてこんなに考えさせられたのはブラジルが一番でした。日系人の存在が大きいんです。
  いま日本にはたくさんの日系人が働いています。彼らにとったら、オジイチャン、オバァチャンから聞かされた憧れの祖国日本です。それが、経済原理主義の金を稼ぐだけの国になってしまっている。それが残念です。ブラジルに行って、移住者のみなさんと会って、平和ぼけして浮かれているいまの日本を反省させられました。
  日本の若者たちは、ブラジルに行って、「原種の日本人」である日系人と触れ合って、大自然を肌で感じて、勉強したらいいと思います。

嵐山光三郎さん
嵐山光三郎

作家・エッセイスト。平凡社で『別冊太陽』『太陽』編集長を経た後、作家活動に入る。『素人包丁記』『芭蕉の誘惑』『「不良中年」は楽しい』など、著書多数。旅と温泉を愛し、1年のうち約8カ月は国内外を旅行している。

 
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