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独立行政法人 国際協力機構 JICA横浜


 

 

公開講座「日本人と海外移住」
   

第11回「在日オールドカマー」李洙任(龍谷大学教授)

 
   

第11回概要
日本は戦前、植民地出身者(在日オールドカマー)を日本人「皇国臣民」としつつ、戦後(一九五二年)一方的に彼らの日本国籍の喪失を宣告しました。戦後70年経過した今日でも日本社会の周辺に置かれ、今や在日オールドカマーは新しい世代では四世や五世となっています。韓国・朝鮮人が外国人の最多数を占めていた時代では、日本の外国人処遇対策は在日韓国・朝鮮人処遇対策と同義で、国籍条項を盾に彼らの社会参画は排除されてきました。本講義では、民族差別にあえぎ、社会的・法的・経済的差別待遇から日本人と同等の就業機会が与えられなかった在日コリアンは、いかに生計を維持しようとしたのか。「エスニック・マイノリティ」という逆境を起業家精神へと昇華させ、果敢に事業展開を挑んで、華々しい成功をおさめた在日コリアンが現存する一方、運命や国家制度に翻弄され、困難な人生を余儀なくされた事例を紹介します。

 

第11回報告

 最初に、ロシア、中国、アメリカに在住するコリアンと日本に在住するコリアンの違いについて言及があり、日本のコリアンが、人為的に操作される国籍によって翻弄されてきた歴史が紹介された。

 在日コリアンについては、国籍問題をはじめ人権問題を扱う研究が多いなか、李先生は経済活動に焦点をあてた研究をなさっており、本講座ではその内容にもとづいたお話をいただいた。

 在日コリアンによるさまざまな訴訟は、在日コリアンが外国籍であることを理由に、その訴えがまともに取り扱われることがなかった。しかしながら、そのような状況にある在日コリアンが、京都西陣織という日本の伝統工芸産業に参入し、その重要な担い手として働いていたことが紹介された。

 近年のヘイト・スピーチの標的ともなっている朝鮮学校設立の歴史的経緯とこれまでの変遷について解説があり、在日コリアンの「特別永住者」という滞在資格と「一般永住者」との間に大きな差がなく、決して「特権」と呼べるものではない。生地主義に基づく国籍法が施行されている他の先進国であれば、日本社会で出生したものには自動的に国籍が付与されるものだが、日本の場合、四世、五世になっても外国籍住民のまま社会の周辺に追いやられ、市民権とは程遠い限られた権利しかもてない。

 一方、スポーツという実力社会のなかで、日本国籍を取得し活躍する在日コリアンの存在があることや、最近のサッカー選手の事例などが紹介された。

 国際競争力の日韓比較における日本の劣勢やイランの将来性などについても、統計資料にもとづき説明があった。

 統計上の日本における朝鮮・韓国籍者数の変遷には、日本の植民地支配下での経済状況と人の移動、戦後の国籍喪失、韓国籍取得、北朝鮮への帰国事業などの歴史的背景が影響していることが解説された。また、朝鮮籍は北朝鮮の国籍は所持していない、正しく言えば朝鮮籍の人たちは無国籍者であり、彼らの苦労についても言及された。

 在日コリアンへの就職差別や指紋押捺制度に対し、1980年代には日本の公民権運動ともいうべき活動が広がりをみせたこと、マイノリティの覚醒としての在日コリアン企業家の活躍や日本経済への貢献などが説明された。

 国籍剥奪や差別にあえぎながらも、日本の伝統工芸産業を支えてきた在日コリアンの人々の貢献と苦労が映像資料とともに紹介され、そのような人々に対する日本と韓国双方からの支援の必要性が言及された。

 最後は在日コリアンの教育、コリア系ロシア人、アイデンティティと国籍、保証問題、被爆者など、多岐にわたる質問があった。それらの回答に加え、龍谷大学に所蔵されている安重根の遺墨に関するエピソードから旅順刑務所看守と安重根の逸話など貴重な話も紹介され、盛況のうち講座が終了した。

 

 

 
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